内装職人として15年以上のキャリアを持ち、独立して活躍している松岡雅幸さん。現在は、デコジェの下請けをしながらデコジェの若手社員への教育も担っている。職人の世界と言えば、厳しい上下関係やキツイ仕事をイメージするが、実際はどうなのか、松岡さんに率直な話を聞いた。また、独立しているからこそ感じることや若手への教育などについてもじっくりと話を聞いた。
インタビュー:2017年12月
まず、完成したときに達成感が味わえることです。
すごく汚れている物件でも、クロスを張替えると見違えるようにキレイになります。「キレイになった!」という達成感があって、毎回気持ちよく終われる仕事ですよ。
それから、毎回新しい現場に行くので気分が変わります。ずっと同じ場所に通う仕事よりもストレスを感じないですね。
元請けさんの要求に応えなければいけないところです。
自分が満足していても、元請けさんの基準に合っていなければ納得していただけません。
現場毎に元請けさんの要求をしっかりと把握して作業をすることが大切です。
体力が付いて健康になると思いますよ。それに、毎回気持ちよく終われるので、僕はストレスがたまりませんね。
それから、手に職が付けられることです。ある程度の年齢になると、多くの仕事は再就職が難しくなります。でも、内装の仕事は日本全国にあるので、食べていくことができると思います。
僕の場合は、内装やインテリアが好きなので、趣味にも合っていることがメリットですね。仕事で身に付けた技術を使って自分の家の改装を楽しんでいますよ。
体が資本の仕事なので、怪我や体調不良が仕事に影響することですね。
だから、自分の生活を自分でコントロールしなければいけません。夜更かしをして次の日の仕事に支障が出るなんてことはダメですからね。
でも、これはどんな仕事でも同じかな?
体を動かす仕事なので、ある程度の体力はいりますが、僕はキツイと感じることはありませんね。むしろ、じっとしているよりも体を動かしている方が楽です。
それに、例えば早く仕事を終わらせるために、昼休憩を少し短くするとか、逆に、昼にしっかり休むとか自分で調整することもできますからね。
時間の使い方や収入をある程度自分でコントロールできることかな。
しっかり稼ぎたいと思ったら、それだけ仕事をすれば収入を増やすことができます。固定給ではないので、自分が働いた分だけ収入として返ってきます。
逆に、仕事を請ける量を抑えればゆったり過ごすこともできます。
独立していればこうしたコントロールができるので、自分がどうなりたいかに合わせて働くことができると思います。
季節によって、仕事量に多少の波はありますが、年間を通して比較的安定して仕事があるからです。
他の仕事を請けてしまうと、デコジェの仕事を断らなくてはいけなくなりますからね。
独立したら、安島さんと相談しながら、デコジェの仕事を100%にするか、他の仕事も請けるのか選択することができると思いますよ。どんな風に仕事をしていくのか、自分で選択できるのも独立したからこその魅力かもしれませんね。
自分で仕事を取るところからやろうと思うと、営業をしたり業者さんとのお付き合いをしたりすることが必要です。
でも僕は、営業が苦手なんです。その営業は安島さんにお任せして、僕は作業だけに集中することができます。だから、すごく助かっているんですよ。
基本的に土日は休みなので、家族と一緒に過ごしています。
親方について1対1で教えてもらいました。
昔ながらの職人といった感じの方だったので怖かったですね。
怒鳴られることはありませんでしたが、「静かに怖い」という感じで、プレッシャーがありました。
正直、どう教えればいいのか悩むこともあります。だから、一緒に勉強する感じですね。
自分がやっていることを言葉にするのはすごく難しいと感じています。
「だいたいこのくらい」では伝わらないので、できるだけ具体的に伝えるように意識をしています。
女性スタッフに指導をしたこともありますよ。
重たい機械を運ぶことや高い場所の作業もあります。そうした、力がない方や背の低い方が大変な作業は僕たちがサポートできます。
それに、背が低い方なら、狭い場所や低い位置の作業は僕たちより向いていると思います。
内装の仕事は、女性だからできないということはありません。最近では女性の職人さんも増えてきました。紫外線を気にしなくても良いとか、トイレも心配しなくて良いとか、女性に選ばれる要素もたくさんあります。確かに、基礎体力は必要になるので、デスクワークのようにはいきませんが、健康な方なら大丈夫だと思います。
手先が不器用でも、気が利かないところがあっても、続けているうちにできるようになっていくんですよね。
多少時間がかかることはあるかもしれませんが、続ければ大体の方ができるようになるので、向き不向きは考えなくていいと思います。
ただ、夏場は汗を結構かくので、汗をかくのが嫌だという人には向いていないかもしれませんね。
向上心を持って自分で工夫することができるかだと思います。
僕の場合は「早く家に帰りたい」なんですよ。
早く家に帰るために、作業前から現場の図面を見て、どこから始めると効率がいいか?どんな風に片づけをしたら手早く終われるか?といったことを考えるんです。
だから、仕事が速くなるし上達もしていくと思います。
野波くんは、覚えるのが早いと感じていますが、これも「独立する」という目標があるからだと思います。
目標や目的、やりたいことがあると、成長もそれだけ早くなると思いますよ。
いい状況で働かせてもらっているので、今にすごく満足しています。
目標というと、これからデコジェに入ってくる若い子にもっと上手に教えられるように、教え方をレベルアップさせたいということですね。
もっと効率よく教えてあげられたらいいな、と思っています。
すごく心強いと思います。
体力的に無理がきかなくなったときに、自分の技術を別の形で生かせるのはいいですよね。
普通、職人は動けなくなるまで、とにかく現場に出続けなければ収入がなくなってしまいます。現場でかなりご高齢の方が働いているのを見ると、自分もこうなるのかな、と思うこともあります。
年を取ると動けるペースが随分落ちると思うんです。そうなったときにも、まだ活躍できる場があると思えると安心できますよね。
デコジェに職人が増えたら、それだけ安島さんが仕事を取ってきてくれると思います。
腕のいい職人が増えれば、それだけ信用度も高まって仕事も集まってくると思うんですよ。だから、若い職人が増えることに不安は感じません。
むしろ、いいサイクルになっていくと思います。
職人には「怖いとか「厳しい」というイメージがあるのかな?
安島さんの顔を見て、怖いと思う人もいるのかな?(笑)
でも、「怖がらなくてもいいよ」と言ってあげたいですね。
職人の先輩として、若手に技術を伝えている松岡さんは、若手職人にとって、独立して活躍している身近なモデルでもある。そんな松岡さんが、「今の状況にすごく満足しているんです」と語ったのがとても印象的だった。わずか半日ほどの取材だったが、松岡さんが内装の仕事も、若手への指導も楽しんでおり、充実した毎日を送っているのだと十分に感じられた。
インタビュー・記事:悠木まこと
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